所有している土地を有効に活用して安定した収入を得たい、あるいは税金対策を行いたいと考える方は多いでしょう。しかし、十分な知識がないまま始めてしまうと、思わぬ失敗につながる可能性があります。大きな投資が伴うからこそ、後悔はしたくないものです。
この記事では、土地活用でよくある失敗例を具体的に取り上げ、その原因と対策を詳しく解説します。過去の事例から学び、あなたの土地活用を成功に導くためのヒントを見つけてください。
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土地活用で共通する7つの失敗例
土地活用の方法は多岐にわたりますが、どの方法にも共通して起こりうる失敗のパターンがあります。
まずは、特に多く見られる7つの失敗例について解説します。
失敗例1:市場や地域のニーズ調査が不十分だった
土地活用で最も重要なことの一つが、その土地がある地域の市場ニーズを正確に把握することです。
例えば、単身者が多い駅近のエリアにファミリー向けのアパートを建てたり、逆にファミリー層が多い郊外にワンルームマンションを建てたりしても、入居者は集まりにくいでしょう。
自分がやりたい活用方法を優先するあまり、地域の需要とミスマッチが起きてしまうケースは後を絶ちません。ニーズのない土地活用は、計画そのものが成り立たなくなるリスクをはらんでいます。
失敗例2:自己資金が不足し資金計画に無理があった
土地活用には、建物の建築費などの初期費用だけでなく、固定資産税や修繕費、ローンの返済といった運営コスト(ランニングコスト)がかかり続けます。
当初の計画で自己資金が不十分だったり、ローンの借入額が大きすぎたりすると、少しの空室が発生しただけで資金繰りが悪化し、計画が破綻してしまう危険性があります。
特に「フルローンに近い状態」で始めると、空室発生時に返済に窮するだけでなく、将来的に売却したくてもローン残債が売却額を上回る「オーバーローン」状態になり、売却も困難になるという失敗に陥りがちです。
失敗例3:利回りの高さだけを追求してしまった
収益性を表す「利回り」は重要な指標ですが、これを追求しすぎるあまり失敗するケースも少なくありません。
例えば、利回りを高く見せるために、初期費用である建築費を極端に切り詰めたとします。その結果、外観が安っぽくなったり、設備が不十分だったりする建物になり、入居者に選ばれず空室が増えてしまう可能性があります。
安易なコスト削減は、建物の魅力を損ない、結果的に収益を下げることにつながるのです。
項目 | 利回りを追求しすぎた場合 | 適切な投資を行った場合 |
---|---|---|
建築費 | 低い | 適正 |
建物の品質・魅力 | 低い(安っぽい外観、不十分な設備) | 高い(魅力的なデザイン、充実した設備) |
入居率 | 低下しやすい | 維持・向上しやすい |
長期的な収益 | 低下するリスクが高い | 安定しやすい |
資産価値 | 低下しやすい | 維持・向上しやすい |
失敗例4:目的が曖昧なまま活用方法を決めてしまった
「相続税対策をしたい」「安定した老後資金を得たい」「地域に貢献したい」など、土地活用を始める目的は人それぞれです。
この目的を明確にしないまま、「とりあえずアパートでも建てよう」と安易に始めてしまうと、失敗につながりやすくなります。
例えば、相続税対策が目的なのに、節税効果の低い駐車場経営やトランクルーム経営を選んでしまうと、目的を達成できません。何のために土地活用を行うのかを最初に明確にすることが、最適な方法を選ぶための第一歩です。
失敗例5:サブリース契約を誤解していた
サブリース契約は、管理会社が建物を一括で借り上げ、入居者に転貸する仕組みで、「家賃保証」という言葉から空室リスクがないと誤解されがちです。
しかし、これは間違いです。サブリース契約であっても、空室が増えれば管理会社から家賃の減額を要求されるのが一般的です。 過去の判例でも、管理会社からの賃料減額請求権は認められています。
サブリースだから絶対に安心ということはなく、契約内容を十分に理解しないまま契約し、後々トラブルになるケースが多発しています。
失敗例6:複数の業者を比較せずに決めてしまった
土地活用のパートナーとなるハウスメーカーや建築会社は数多く存在します。最初に相談した一社の提案だけを鵜呑みにして契約してしまうと、もっと良い条件やプランがあった可能性を見逃してしまいます。
建築費や事業計画、管理体制などは会社によって様々です。複数の会社から見積もりや提案(相見積もり)を取ることで、建築費を適正な価格に抑え、より自分の土地や目的に合ったプランを選ぶことができます。
この比較検討を怠ることが、失敗のリスクを高める要因となります。
失敗例7:頼れる専門家やパートナーがいなかった
土地活用は、建築、税務、法律、マーケティングなど多岐にわたる専門知識が必要です。 これらすべてを一人で学び、判断するのは非常に困難です。
知識が不十分なまま計画を進めると、予期せぬ法規制に抵触したり、不利な契約を結んでしまったりする可能性があります。困ったときに的確なアドバイスをくれる専門家や、長期的に並走してくれる信頼できるパートナーがいないことは、失敗に直結する大きなリスクと言えるでしょう。
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【活用方法別】こんな失敗例にも注意
土地活用の方法によって、特有の失敗例も存在します。
ここでは代表的な3つの活用方法について、注意すべき点を見ていきましょう。
アパート・マンション経営の失敗例
アパートやマンション経営でよくある失敗は、建物の間取りや設計に関するものです。
例えば、建物の収益性だけを追求し、十分な防音対策を行わなかった結果、入居者間の騒音トラブルが多発し、退去が相次いでしまうケースがあります。
また、店舗付きマンションを建てる際、2階以上に店舗区画を設けてしまうと、よほど立地が良くない限り借り手が見つからず、長期間空室になってしまう失敗も少なくありません。
駐車場経営の失敗例
駐車場経営は税金面での失敗がよく見られます。住宅が建っていた土地を更地にして駐車場にすると、「住宅用地の特例」が適用されなくなり土地の固定資産税が最大6倍になる、税負担が急増することがあります。
また、運営会社が提示する収支シミュレーションを鵜呑みにした結果、想定より利用者が少なく、収益が上がらないというケースも多いです。
古くなった住宅をこわして駐車場にしたら、税金が上がったのはどうしてですか。/金沢市公式ホームページ いいね金沢
太陽光発電の失敗例
太陽光発電は、特に郊外や田舎の土地活用として検討されることがあります。
しかし、過去の成功事例だけを参考にしてしまうのは危険です。再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の買取価格は年々低下しており、昔と同じような高い収益を上げることは困難になっています。
将来のパネルの撤去費用まで考慮せずに始めてしまい、買取期間終了後に多額の費用が発生し、土地が「負の遺産」となってしまう失敗例もあります。
参考:過去の買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー
【太陽光発電】FIT(固定価格買取制度)の買取/売電価格推移|新電力ネット
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土地活用の失敗から学ぶ成功への7つのポイント
これまで見てきた失敗例を踏まえ、土地活用を成功させるためにはどのような準備をすれば良いのでしょうか。重要な7つのポイントを解説します。
ポイント1:土地活用の目的を明確にする
まず最初に「なぜ土地活用をするのか」という目的を具体的にしましょう。
「毎月20万円の安定収入が欲しい」「子供たちに資産を公平に残したい」「固定資産税の負担を軽減したい」など、目的が具体的であるほど、取るべき戦略も明確になります。
目的が定まれば、数ある活用方法の中から最適な選択肢を絞り込むことができます。
ポイント2:専門家のアドバイスを受けながら市場調査を徹底する
自己判断でニーズを決めつけず、土地活用の専門会社に相談しながら、客観的なデータに基づいた市場調査を行いましょう。
その地域の人口動態、年齢層、周辺の家賃相場、競合物件の状況などを徹底的に分析することで、どのような活用方法に需要があるのかが見えてきます。この調査が、土地活用全体の成功を左右すると言っても過言ではありません。
ポイント3:複数の企業から事業計画の提案を受ける
パートナー選びは慎重に行い、必ず複数の企業に相談しましょう。同じ土地であっても、企業によって提案される建物のプランや建築費、収支計画は異なります。
複数の提案を比較検討することで、それぞれのメリット・デメリットが明確になり、ご自身の目的や予算に最も合った、納得のいくプランを選択することができます。
比較例:
比較項目 | A社 | B社 | C社 |
---|---|---|---|
提案する活用方法 | ワンルームアパート | ファミリー向けマンション | 店舗併用住宅 |
初期費用(建築費など) | 8,000万円 | 1億2,000万円 | 1億円 |
想定利回り | 6.0% | 5.5% | 7.0% |
管理・サポート体制 | サブリース提案 | 一般管理 | テナント誘致に強み |
デザイン・強み | 若者向けのデザイン | 高級感のある設備 | 地域密着型 |
ポイント4:現実的な収支シミュレーションを行う
企業から提案された収支シミュレーションを鵜呑みにせず、その内容を精査することが重要です。
特に、家賃設定が周辺相場と比べて高すぎないか、空室率や家賃下落率が楽観的すぎないか、といった点は厳しくチェックする必要があります。長期的な視点で、現実に即した厳しい条件でも事業が成り立つかどうかを確認しましょう。
ポイント5:リスクを想定し対策を盛り込んだ事業計画を立てる
土地活用にリスクはつきものです。空室、家賃滞納、金利上昇、災害など、起こりうる様々なリスクを事前に洗い出し、それらが発生した場合の対策を事業計画に盛り込んでおきましょう。
例えば、空室リスクに対しては広告戦略を、災害リスクに対しては火災保険や地震保険への加入を検討するなど、具体的な対策を立てることで、万が一の事態にも冷静に対処できます。
ポイント6:自己資金は十分に用意する
フルローンやそれに近い借入は避け、できるだけ多くの自己資金を用意しましょう。一般的に、投資額の2〜3割程度の自己資金を用意することが推奨されています。
自己資金が多ければ借入額を抑えられ、月々の返済負担が軽くなります。これにより、多少の空室や急な出費が発生しても安定した経営を維持しやすくなります。
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ポイント7:信頼できるパートナー企業を選ぶ
土地活用は、一度始めたら数十年続く長い付き合いになります。そのため、目先の利益だけでなく、長期的な視点で親身に相談に乗ってくれる信頼できるパートナー企業を選ぶことが重要です。
企業の経営実績や管理体制、担当者の人柄などを総合的に判断し、安心して任せられるパートナーを見つけましょう。
【こんな活用方法も】失敗例から学ぶ新しい土地活用方法
土地活用を成功させるためには、前の章で解説したような典型的な失敗例を学び、ご自身の土地や状況に合わせた、リスクの低い方法を選択することが大切です。
特に、多額の初期投資が必要なアパート経営や、制度変更のリスクがある太陽光発電などは、初心者にはハードルが高い側面もあります。
そこでここでは、比較的リスクを抑えながら始められる、おすすめの土地活用方法を3つご紹介します。それぞれの特徴を比較し、ご自身の土地に最適な活用法はどれか、検討してみてください。
活用方法 | 特徴 | 特に注意すべき失敗例 |
---|---|---|
トランクルーム経営 | 比較的小さな土地でも可能。住宅需要の低いエリアでも収益化が期待できる。 | 周辺のニーズ調査不足による空室の長期化、競合の出現。 |
戸建て賃貸経営 | アパート経営より小規模で始められ、入居者間の騒音トラブルが起きにくい。 | 空室になると家賃収入がゼロになる。修繕費用の発生。 |
資材置き場としての土地貸し | ほぼ初期費用ゼロで始められる。管理の手間がほとんどかからない究極のローリスク手法。 | 収益性が非常に低い。土地のイメージが悪化する可能性。 |
トランクルーム経営
トランクルーム経営は、コンテナなどを設置し、収納スペースとして貸し出す土地活用です。アパート経営などに比べて初期投資が少なく、高い利回りが期待できるのが特徴です。
専門業者に管理を委託すれば、集客からトラブル対応まで任せることができ、運営の手間がほとんどかからない点も魅力と言えるでしょう。
ただし、成功の鍵は事前の綿密な市場調査にあります。周辺のニーズを見誤ると利用者が集まらないリスクがあるため注意が必要です。また、固定資産税の軽減措置は適用されない点も考慮しておきましょう。
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戸建て賃貸経営
土地に一戸建てを建てて貸し出す戸建て賃貸は、ファミリー層が多く住む住宅街などでの活用に適しています。
アパート経営の失敗例で挙げたような入居者間の騒音トラブルが構造上発生しないため、一度入居が決まると長く住んでもらえる傾向があり、安定した経営が期待できます。
一方で、戸数が一つしかないため、空室になると家賃収入がゼロになるリスクは考慮すべきです。この点をカバーするためには、周辺の賃貸需要をよく調査し、求められる間取りや設備を取り入れることが重要になります。
資材置き場としての土地貸し
資材置き場としての土地貸しは、近隣の建設会社などに、建築資材や車両を置くスペースとして土地を貸す、非常にシンプルな方法です。
駐車場経営などで懸念される多額の初期投資や税金の急増といったリスクがほとんどありません。土地を更地のまま貸すため、管理の手間もかからず、将来的に別の用途へ転用しやすいのも魅力です。
ただし、収益性はあまり高くありません。あくまで土地を遊ばせておくよりは良いという認識で臨み、信頼できる相手と契約することが大切です。
まとめ
土地活用は、将来の資産形成において非常に有効な手段ですが、計画や準備を誤ると大きな失敗につながるリスクも伴います。今回紹介した失敗例の多くは、事前の情報収集や計画段階での検討不足が原因です。
土地活用の目的を明確にし、専門家と相談しながら徹底した市場調査と現実的な事業計画を立て、信頼できるパートナーと共に進めることが成功への鍵となります。この記事で得た知識を活かし、慎重に、そして着実にあなたの土地活用を成功させてください。
土地活用でアパートや駐車場経営に失敗した・失敗しないか不安な方も多いのではないでしょうか。トランクルーム経営なら立地に左右されず、管理の手間も最小限で安定収益が期待できます。業界3位の実績を持つ「ドッとあ~るトランクルーム投資」では、独自の商圏分析で失敗リスクを軽減し、ワンストップでサポートいたします。